技術篇
第三講

目次読みの重要性

本を手にとったらすること


著者像をイメージしたあとに行なうのが、目次読みです。

本書の資料として読んだ「読書術」の本の中に松岡正剛さんの『多読術』があります。この中で松岡さんも目次の重要性に言及しています。

本を手にとったとき、まずは目次を1~3分パラパラめくるそうで、「この3分間程度の束の間をつかって目次を見ておくかどうかということが、そのあとの読書に決定的な差をもたらす」とまで言っています。これが読書の「前戯」で、この方法論を「もくじ読書法」と名づけています。

私もこれとまったくおなじ考えを持っています。目次は効率よく内容を把握し、読書を進めていくうえでの「海図」の役割を果たす重要なページであることは間違いありません。にもかかわらず、この重要性に気づかず、意外と目次を飛ばしてしまう人が多いようです。

「目次なんて、本が面白そうか、自分の求めているものに合致しているか、買う前にさっと目を通すだけのものでしょう?」なんて思っている人もいます。

そうした人たちは、重要な読書法を身につけていないことになります。逆にいえば、そうした読み方でここまで不自由なくやってきたあなたに、「目次読み」という技術が加われば、鬼に金棒、本を読む力が格段にアップすることをお約束できます。


目次を読まない人って?


では、目次を読まないということはどういうことかをわかりやすくご説明しましょう。

ある人がいきなりヨーロッパに連れて行かれ、到着した地で、「ここはドイツのベルリンです」。そこからさらに飛行機で移動し、「ここはベルギーのブリュッセルです」。さらに移動して「フランスのパリに着きました」。これでは自分がどこにいて、どこからどこへ向かっているのか、わかりませんよね。ヨーロッパの中にドイツがあり、ベルギーがあり、フランスがあり、自分はだんだんと南下しているんだと認識できるのは、世界地図を理解してからです。

それと一緒で、目次を把握しておくことは、全体像をとらえるマッピング術なのです。

今、自分がどこから来て、どこにいて、これからどこへ行こうとしているのかが目次を読むことで理解できます。「どこへ行こうか」というのも重要なポイントなのです。まさに海図ですね。

今、自分が読んでいる文章は何について書かれて、全体の位置づけではどのような意味と重要性を持つのか。この章まででどんな論理が展開されていて、このあとの章ではどのような方向性に話が進むのか。これがわかって読むのと、わからないで読むのでは理解度に大きな違いが出てきます。

目次をしっかりと読んでおくことで、本の全体像と、自分が今読んでいる文章の意味合いが理解できますから、その文章の意味合いをよく理解できるのと同時に、本文を読むスピードも必然的に上がります。


内容の「受け入れ態勢」


それでは、私の行なっている目次の読み方を具体的にご紹介します。

まず、じっくりと章タイトル、小見出しを目で追いながら、咀嚼していきます。一度、目で追い終えたあとで、もう一度、第1章の章タイトルから読み直す、ということをしてもいいでしょう。とにかく目次で全体像を把握し、それぞれの章で何を言いたいのかをイメージする。このあたりまでで3~5分を費やします。

大切なのは、目次をじっと見て、その見出しの箇所はなんのことを書いているのか想像してみることです。5分もあれば、この作業も充分だと思いますが、この見出しではこんなことを言っているのではないかとか、この章の趣旨はこういうことなのではないか、といったようにあらかじめイメージをしてしまうのです。

それが当たっているか、当たっていないかは、ここではあまり大きな問題ではありません。イメージすることで、該当の文章に差し掛かるとき、読書の心構えができあがっていることのほうが重要です。

もしあなたがイメージしていたことと違うことが書かれていれば、その事実はあなたを触発し、驚きを伴ってあなたの内部により深く入り込むでしょう。あなたの予想したとおりのことが書かれているのであれば、それもまた理解しやすいはずです。

つまり、読書前のイメージは、本の内容についてあなたの受け入れ態勢を整える準備体操の役割を果たしています。

本を読み始める際にかけるわずかな時間が、本を読み終えるときに振り返ってみると、何倍も効率的にしてくれていることに気づくでしょう。

これが始めに目次を熟読することの意味合いです。

私は1つの目安として、5分としていますが、もっと時間をかけてもいいでしょう。

あえて5分以上の時間をかけて読んでおくと、あとから本文の内容がどんどん頭に入ってくる、これは間違いありません。

私は以前から、こうした目次読みは無意識のうちにしていました。私はそもそもが本好きですから、1頁も漏らさずに読みたいという貧乏根性があるのです。だから、飛ばし読みも得意ではありません。「もし読まなかった部分に大事なことが書いてあったらもったいない」と思ってしまうのです。

ですから、目次といえどもムダにしたくない。どの頁も舐めるようにして読むので、いつのまにやらこうした習慣がついているのです。

せっかく時間とお金をかけて読むわけだから、なるべく内容を残したい、吸収したい。そんなあなたにとって、目次読みがもっとも効率的方法論だということは私の経験上、断言できることです。